実習生。
ベトナムから技能実習生を呼んで働いてもらっている。よく噂される時給300円とか、時間外の割り増し賃金が出ないだのそういうのは実際には難しい。報道に出ているのは特異な例か脚色が入っているのかもしれない。
僕ら雇用側が知らないところで視察のために彼らのところへヒアリングに来ていたり、人を入れる機関もそれなりに頑張っていたりする。大切な商品だからね。
うちの会社で一番初めに来た実習生はとても優秀で、ヘタな日本人を雇うより「便利」だったりする。
とても荒くはあるけど、後輩の面倒を見て、しっかりサポートしている。僕ら日本人よりも彼に従う方がスムーズなほどだ。
彼ら実習生はこれから数年の日本にとってとても大切な労働力になる。規制も緩和されて、手続き、審査、試験を受けて、無事合格すれば日本に滞在する期間が最長10年になり、家族を呼ぶ事すらできる。実質日本人と変わらない生活を送る事ができる。
誰にでもできる事じゃなく、僕ら受け入れる側が必要だと思わなければ、それは叶わない。本人の意思、能力、受け入れ側が相思相愛でなければならない。
その試験が明日、千葉県で行われる。
ここ数日、書類作成や、規格にあった道具を揃えたりと準備をしてきた。日本に来て、これからも日本で働こうとする彼の集大成を見せる時が来ている。
どんなに優秀であれ、明日からの三日間で未来が決まる。
日本語が辿々しく、不安そうな顔をしていた日々が懐かしい。
合格して欲しい。彼だけでなく僕にとっても一つの結果になる。そんな試験に立ち会えるというじじつが、こんなにも酒の肴になるとは思わなかった。
どうか、いい日になりますように。