毎日の、

独り言しか書きません。そういう風に決めたんです。断固として。

さりげないこだわりを持つさりげなさに感動した話。僕が幻滅した建築業界もまだまだ捨てたもんじゃない。かもね。

ささやかだけれど、しっかりとしたこだわりに出会って、ちょっとときめいた話。

今現在、ど底辺会社員の僕は、バンドをやりたかったのもあって上京、そこから建築業に携わる時間が多かった。最近では、建築業界のよく言えば堅牢さ、悪く言えば古臭さに嫌気がさしてきていた。

正直、始まる現場は値段が重視される。安く請けることが評価される。それはあながち間違いではないと思っていた。図面通りに作ればいいだけ。そこに、作った人の個性や工夫はほぼ残らない。材料が進化して組付ければわりと立派に出来上がる。僕がよく人に話すのは「もう、建築現場に職人はいなくなった。そして、いらなくなった。」職人というより先を予測してしこしこ頑張れる人の方が大事。あと、参入障壁のクッソ低い業界に生きる人間を束ねられる人。マネジメント。だけれども、評価されるのはバタバタ施工して、数をこなす人。僕らは基本的に数量で請け負う。なので、仕上がりより単純な仕事量をこなす人に目が行きがちなのだ。

少し話がずれた。

そんな建築業界で、こだわりを残そうという人に会った。

 

ペットサロンのコンサル、設計、施工をしている人だった。結構、物腰の柔らかい人なのでちょっととらえずらい印象だった。ちょっと古めのレンジローバーに乗っていたので趣味やこだわりは持っていそう、だけれどそれを感じるほど僕は繊細じゃなかった。

小さなペットサロンの工事なので、工事日4日目にしてほぼ完成の目途がついた。

一息ついたことろで少し話す機会があったので、古めかしい腰窓について聞いてみた。

どんなに小規模だろうが、一部に必ずアンティークを入れるようにしているとのこと。代表の方の住まいの近くにあるアンティークショップで手に入れるらしい。観音開きの窓なんだけれど、アクセントの為なので開けて使うような場所にない。ペットサロンならただのはめごろし、FIX窓で終わらせてしまうようなところ。そこにアンティークの一点ものを時間をかけて取り付ける。大工さんが作業をしていたんだけど、まあ手間のかかること。いろいろ歪んでいたり丁番もうまく動いていない様子。アンティークは扉だけで(いちばんタチが悪い)、額縁はワンオフ。一日がかりで調整&取付。

 

効率や価格を気にしていたらこんなことはしない。同じところにFIX付けるなら一日で10か所くらいはつけられる。

 

一部に必ずアンティークを入れるようにしている。そんな話を聞いたときに、引き合いとして安藤忠雄の話をしてしまった。名前が残るだけあって、ちょっと異様に見える安藤アーキテクト。近所にあるけれど、周りの景観さえ変えてしまう存在感。でも、世間に名前の出る建築家って、ここ最近だと新国立競技場のデザインをした人くらいかなと思う。あの人、正直高かった。でも、インスタントであれば都営住宅の様なものが一番。四角く白い。大胆なデザインでは高くなってお客さんがつかない。

許容される金額の中に、自分がかかわった痕跡を残す。そんなことをしている人に会えてよかった。ぶっちゃけ、僕を雇ってくれないか頼もうかと思ったくらい。

 

設計ってこうあるべきだよな。だって形に残るんだもの。

 

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